でい荘

独自性重視

今週のテレビを振り返る 5/7~5/13

『爆問×伯山の刺さルール!』

5月10日(水) テレ朝 0:15~0:45

 迷走を続けているこの番組だが、今回の企画は面白かった。昨今のテレビの利点であるアーカイブを活用した番組の流行を受けてなのか、「テレビ欄でテレビ談」といった企画。爆笑問題により70・80年代のテレビが語られる(爆笑問題と同じサイドに伯山がいるが語り手ではない。いい加減伯山を活かしてあげて)。基本的に昔のテレビ欄しか見せてくれないのだが、パオパオチャンネルだけ映像が出て笑う。

 

『私のバカせまい史』

5月11日(木) フジ 21:00~21:54

 この番組はフジにアーカイブが豊富にある関係上、ものまね関係の研究が多いのだが今回の研究でも「コロッケの間奏詰め込み史」が発表された。間奏詰め込みという題であるがその実はコロッケの芸の進化とその偉大さの再確認であった。詰め込みという視点での五木ロボットを見るというのも面白く、また動きの完成度にも圧倒された。

今週のテレビを振り返る 4/30~5/6

まえがき

 印象に残った番組を書き留めておく。4月30日(日)から、5月6日(土)まで放送された番組を記録。

『ものまねグランプリ 今一番ウケるネタ 春の22連発SP』

5月2日(火) 日テレ 20:00~22:54

 今週の日曜月曜は大した番組が無くモノポリーで暇をつぶしていたが、火曜のものまねグランプリにはよく笑わされた。一番はやはりキンタロー。の右團次と都留の阿部寛が登場した大河のものまねであった。もはや誰が松潤をものまねしていたのか覚えていない。またジョニー志村のタモリの老け感を忠実に再現したものまねにも唸らされた。この番組では素人そっくりさんやショートものまねの審査(○×での判定。○の数で賞金が出たり出なかったりする)があるのだが、番組の性質上甘い審査が目立っていた。しかし今回はそのような声を拾ったのか×がちらほら上がっていた。特に大貫勇輔の審査が厳しめで良かった。

 

『爆問×伯山の刺さルール!』

5月3日(水) テレ朝 0:15~0:45

 太田松之丞から始まり何度も看板を変えてなぜか続いている番組である。以前までは主にある芸能人の高額な買い物の紹介VTRと大喜利で構成された番組だったが、今回はレギュラー陣が「これ知らないの人生損してる!」というテーマでプレゼンをするという企画であった。(これは絵のうまい芸人がスライドを作りプレゼンしていた時代に戻ったとも言える。)その中でも太田による『どですかでん』の口演は群を抜いていた。生活者の描写にかけては日本一だと思う。しかし、なぜそれこそ話芸のプロ中のプロである伯山がプレゼンしなかったのだろうか。これまでの刺さルールでの役割からしても制作陣が伯山の美点を理解しているとは到底思えない。

 

『診察中!こどもネタクリニック』

5月5日(金) Eテレ 17:30~18:00

 わらたまの姉妹番組にチャンピオンが登場。二組とも治療後、ネタにあった暗さはかき消され、明るく前向きに変貌するもしっかりと面白くなっていた。お笑いの根本を知っているのは子供たちなのであった。

 

爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』

5月6日(土) フジ 21:00~23:10

 もはや合戦の要素が消え去った特番。今回もクリカンのものまねは微妙であった。レッツゴーよしまさの志村けんのリアルさはお馴染みだが、メルヘン須長研ナオコのリアルさに意表を突かれた。松村邦洋&山本高広の『罠の戦争』本田博太郎ものまねはドラマの知名度からして貴重で、この機会を逃してしまったら後悔は……しないだろう。一つ文句を言うとすれば、松本等しいも登場してほしかったということだ。

 

以上。

今週のテレビを振り返る 4/22~4/29

まえがき

 本日から個人的な備忘録として印象に残った番組を書き留めておく。4月22日(土)から昨日、4月29日(土)まで放送された番組を記録。

 

ETV特集 ひとりだけど、ひとりじゃない』

4月22日(土) Eテレ 23:00~24:00

 良質なドキュメンタリーを量産することで名高いETV特集。今回は鹿児島の「ゆくさの会」を中心に来たる「身寄りなし社会」のシルエットを示した。会のリーダーの意志の強さに打たれる。ホームレスから貰った廃棄されたパン。感謝の気持ちを繋いでいく、繋いでほしいという思いに納得。弱い自分の姿をさらけ出す勇気にも気づかされた。

 

『千鳥のクセスゴ!初回3時間SP』

4月23日(日) フジ 19:00~21:54

 どこがどう変わったのかよく分からない「クセスゴ」のスペシャル。熱心な視聴者でないので途切れ途切れで見た。逃走中のシンボルであるハンターの頬のこけ方を見事に再現したCOWCOWにくすぐられ、ウエストランドのクセスゴへの的確な批判(収録したものをいつ放送するのか)に笑う。しかしなぜコラボばかりやりたがるのか。エンタ並みにテロップを入れたがるのか。新たに「パワーアップ」したと豪語するが改善の気配は皆無であった。

 

『ひらけ!パンドラの箱 アンタッチャブるTV』

4月25日(火) フジ 21:00~21:54

 脱力タイムズ以来、フジテレビのもの(これはカンテレ制作だが)という感があるアンタッチャブル冠番組。メインの謎レビューツアーではピラミッド元氣温泉へアンタッチャブルがロケ。独自の世界観を感じさせる支配人とのやり取りが巧い。とはいえこの企画が素晴らしいのはこういった支配人の思考全開の半ば怪しい施設の真実に迫り、忘れられた魅力を取り戻していることにある。あのNHKアーカイブの番組とは違って人へのリスペクトにあふれた番組であった。

 

徹子の部屋

4月27日(木) テレ朝 13:00~13:30

 この日は裏千家宗匠、千玄室が登場。100歳と89歳の超高齢、しかしバイタリティーあふれる対談であった。100歳という数字を感じさせないほどの声量と身体にびっくり。時間時間きっちりと物事を行うことが健康の秘訣と語る大宗匠。海軍体操も日々のルーティンであった。特攻隊体験を語る姿は生き残った人たちが戦死した友への思いを背負って生きてきたのだと感じさせた。

 

『全力!脱力タイムズ』

4月28日(金) フジ 23:00~23:40

 今回の芸人コメンテーターはウエストランド井口。あるなしではなくABでの議論。井口お得意の強引な弁舌が「わびさび」を生み出した。しかしコンプラ委員会は少々蛇足の感あり。

 

さんまのお笑い向上委員会

4月29日(土) フジ 23:10~23:40

 魔の3週目には安村、村上、ななまがりが登場。安村の空気感、ななまがりのシンプルに面白いネタに大満足。しかし叶メカ率いるチープモノマネの群に打ちのめされてしまった。やはりこの番組は無くしてはならない貴重なものである。

 

以上、フジテレビの番組ばかりの一週間であった。

2022年12月13日ものまねグランプリでの「惨劇」について考える

まえがき

 2022年12月13日に放送された「ものまねグランプリ」。そこで起きた「惨劇」って何なんだ?

 

 それはよよよちゃん」がBブロックで披露した大瀧詠一のものまね(歌まね)(大瀧のものまねは43:30~)である。彼のものまねは正直言って、似ていなかった。いや本当に似ていなかった。これに加えて「よよよちゃん」が出場し、ものまねを披露しているはずなのに、画面に映っているのはサミーコイワという白髪のオッサンであった。

 この酷さは私に驚きと呆れをもたらすのに十分なものだった。しかしまた同時に、この惨劇がなぜ生まれてしまったのかという疑問をもたらした。今回はこの事件の問題点を明らかにしつつ原因について考えてみる。

 

考察

 この事件の問題点は3つ。似ていないということと、恰好が時代錯誤であること、そしてサミーコイワを含む3人でものまねを行ったにもかかわらず「よよよちゃん」として出場したことである。

 サミーコイワの歌まねは驚くほど似ていなかったので、彼がYouTubeに上げている大瀧のカバーを聴いてみた*1。するとどうだろう、まあまあ似ていたのだ。色々聞いていく中で彼の似ていない部分が分かってきた。それはサビになると弱いということである。大瀧詠一本人の持つあの悶えともいえるような心に響く歌声は彼には出せていない。今回の「君は天然色」のものまねはサビの部分のみであったため、あのような醜態となってしまったのではないか。

 サミーコイワは顔も似ていなかったが、そもそも白髪のかつらに黄色いシャツという彼の恰好は時代錯誤なのである。大瀧詠一は1985年にシンガーソングライターとしての活動を休止し、またライブも6月のはっぴいえんど再結成ライブを最後にこれ以降行うことがなかった。その頃の大瀧はまだ白髪になっておらず、ものまねのような姿で「君は天然色」を披露するというようなことは無かったのである。しかしものまねする以上モデルがあるはずで、それは何かというと1981年6月1日の厚生年金会館で行われた大滝詠一 A LONG VACATION コンサートでの「君は天然色」である。その映像を見ると服装が一致しておりサミーコイワはこれをまねたのだと分かる*2。ただその分白髪という異物がやはり目立つ、彼はなぜあのような姿でものまねをしたのだろうか。

 その疑問を考える前に「よよよちゃん」として3人がものまねを披露したのはなぜかという疑問に答えたい。それは「よよよちゃん」が今回披露したシティポップメドレーが番組側の企画に依るところが大きく、よよよちゃんに三曲をものまねさせることが負担が重く難しいと考えた番組がシティポップのカバーをしていたサミーコイワと、内野まき子*3に声をかけたが、いかんせんネームバリューの皆無な二人であるため「よよよちゃん」名義での出場になったのではないか。これが私の考えである。

 それを踏まえると、サミーコイワが白髪姿でものまねをしたのは、プログラムの構成を企画した番組側が顔が似ていない*4彼を用意していた晩年の大滝詠一のイラストに近づけようと白髪のかつらを被せたからだと考えられるのだ。

 

結語

 あの惨劇は以上のような要因のもとで起こったと私は考えている。なので責任については番組が責められるべきであるし、サミーコイワにバッシングを送る人々には冷静になってほしい。適切なものまねが行われることを願いつつこの記事を終える。

*1:サミーコイワ - YouTube

*2:https://youtu.be/fKoqjnvnZ-s

*3:彼女についてはネットからあまり情報を得られなかったので詳細は述べない

*4:顔が似ていないのは彼が認めるところでもある。